過剰演出

最近観ている作品のこういう部分に引っかかるんですよね。
主にジャンプ作品。と、『四月は君の嘘』ですね。まあ、後者は過剰じゃないんですが。

最近のジャンプ漫画に言えることなんですが、ちょっと過剰な演出が鼻につくんです。そういった現象が起こる時は、決まってその場面を盛り上げようとしているときに起きていると思います。
過剰演出だと思ってしまう作品は、『食戟のソーマ』と『ぼくらのヒーローアカデミア』*1の二作品です。どちらも人気作品ですね。
とにかく自分が漫画を読んでいて気になるのがコマの大きさです。漫画はアニメと違って(テレビで例えるなら)一つ一つの画面の大きさを自由に作ることができます。だからこそ、コマの使い方や、見せ方が作品づくりに影響します。1ページの半分程度の大きさのコマならば特に気にはなりません。だけど、それ以上の一ページの半分を越える大きなコマになると目に付いてしまいます。そういうコマが作られる理由は色々あると思うんです。演出的に強く見せたいだとか、読者に驚きを与えたいとか、色々とあると思うんです。ただ、それを過剰に感じるときがあるんです。過剰演出が起こってしまう前提としては、ジャンプは人気によって打ち切りが決まる厳しい世界なのです。これは周知の事実ですが、だからといって演出を大げさにしなくてもと思うわけです。
具体的になにか、というのはないんですが、積み重ねで感じることがあります。毎回毎回、必ずキメのカットというかキメてるコマがあるんです。それは当たり前ですよね。一話完結の週刊雑誌で平たんな物語を展開しても飽きられるだけですから。
ただ、そういったコマ割がひどく浮いてしまっていることがあります。読んでいて思うことは、かなりうまく描いていないと大きなコマというのは目立ちます。「ただ目立っている」だけなんです。それが、悪目立ちしてるのが過剰演出だと感じてしまう一番の原因だと思います。
これを解消するには色々とやりようがあるとは思いますが、こういうコマを作らないのが一番手っ取り早いんじゃないか(笑)と思います。こういう大きくキメるコマはジャンプ以外でもあると思うんですが、ジャンプは目立ちますねえ。『ONE PIECE』なんかで相手を倒すときの大技を1ページでドカンと見せるときが多々ありますが、ああいうのが一つに影響してるんだろうと思います。まあ、尾田栄一郎さんのそういう作風は和月伸宏さんからの流れなのかなとも思いますが、そこら辺は詳しくないのであまり語れません。
『ソーマ』なんかでよくあるのが登場人物のカッコいいシーンを大きなコマで見せるというのもの。例えるなら主人公が決意する場面。「俺は……」と小さなコマで描かれているページの次のページに進めると大きく「負けないぜ」とコマが描かれてる。そんなイメージです。抽象的ですが。
(下の方に文字だけの小さなコマで)「俺は……」⇒進むと⇒(1ページの半分以上のスペースまたは1ページや2ページ丸ごと使って)「負けないぜ」
こんな感じでしょうか。伝わってれば幸いですが。
カッコいいはカッコいいんです。ただ、何事もやり過ぎはよくないです。『ONE PIECE』じゃないですが、大きなコマがドンッと言ってるんです。自分には聞こえます。(だったらまだ『ONE PIECE』のように小さなコマでドンッと背景に書いてほしいです)
こういうの演出が多すぎて、本当に盛り上げたいときに盛り上がらないんじゃないかという危惧が出てきます。普段から大きなコマを使ってるんで、本当に魅せたいコマを大きくしても読者にその演出効果が伝わらない。まさに、オオカミ少年現象です。言いたかっただけです、すいません。
また過剰な演出が、さらに大きな演出を産んで、それがさらにさらに大きな……と、インフレしていく不安もありますが、その辺は大丈夫でしょう。
最近、サンデーの漫画を読んでいて落ち着きます。コマ割が丁寧だからです。週刊誌の違いもあるんだなあと思いました。
銀魂』なんかは安心して読んでいられます。あそこまで行くと、もう経験値なんでしょうか。『銀魂』は長篇なんか特に象徴的ですが、一話で必ずなにか一つ話を片付けているのが、流石だと思います。しかも無理がないんです。ああ、週刊漫画のよさだなと思います。


もちろん『ソーマ』でも大きなコマが格好よくキマッてる場面があります。篠宮先輩に食戟を挑むシーンですね。あそこでソーマを初めて面白いと思いました。ああいう中二病的な要素がソーマの面白い部分でもあります。パッと読むと、いわゆる俺TUEEEE系な作品なのかなと思った時期もあります。今でもたまに思います。ソーマがへらっとしたと思ったら次のページでは急にカッコよくなる流れを読んでいると、近年流行っている流れというか匂いを感じます。そういった部分と大きなコマの繋がりも感じます。
『ソーマ』に関してもう少し。今後のソーマの展開としては、先輩もしくは年上との絡みが重要になっていくと思います。出会いの漫画ですからね。同級生周りは一通り人脈を築いたので、じゃあ次は年上か、もしくは年下周りとなにかあるのではと思ってます。個人的には、同級生たちとの関係の構築はできたので、場面を10年後くらいに吹っ飛ばして仕事をしているソーマたちを描いてほしいなと思います。そこから過去回想などを交えて過去の学生生活と現在の料理人としての登場人物の比較なんかをドラマにしたりすれば、自分好みだなと思います。かなり個人的な願望ですが。

『ソーマ』や『ヒーローアカデミア』は、楽しく面白い作品なのは確かなんですが、悪目立ちしてしまう部分があるにはあるんです。そこを解消してもらえれば、もっと楽しく読めるのになと思い、少し漫画について語ってみました。

P.S.
大きなコマって専門的な呼び方はないんでしょうかね。調べてませんが、なにかありそうだな〜と思いながら記事を書いていました。
四月は君の嘘』はまた今度、取り上げたいと思います。

*1:この作品は『NARUTO』を現代のラノベにアレンジした作品という印象があります。後釜なんじゃないのかというくらい似てる気がします。作者の方が描きたいのはアメコミ的な要素なのか、それともまた違う部分なのか。もう少しで見えてきそうではありますが。