録画で観ました。ネタだけ観ました。VTRや審査員のコメントは飛ばしました。
それくらいのモチベーションしか無かったのですが、見たら見たで色々と思うわけです。
準決勝も観ていませんし、ネタなんてキングオブコント以来です。それぞれのコンビが普段どんなものやっているかも分かってません。ただバラエティーは局地的に見るので人となりは知っているつもりです。
そういったことを前提にした方が以降の文章は読みやすいのかなと思います。
1.インディアス
しゃべくり漫才で始まりました。相変わらず田渕さんは縦横無尽にボケて喋って、「無茶するなあ」という感じでした。
これだけぐちゃぐちゃにするなら「コント漫才で良かったのに」って思いました。しゃべくり漫才でやる必要があるのかなと。
ネタの導入部分「昔、ヤンキーだった」、知ってる人でも知らない人でも「ん?」と思わせる引きがあるのに、そこからわけもなく引っ掻き回すから段々と興味を失っていく。もちろん、「しゃべくり漫才「なのに」そこからはみ出していく」笑いはあるとは思いますが、「そもそもしゃべくり漫才できてないじゃん」みたいな。そんな印象でした。
点数が高かったのでビックリしましたが。
2.東京ホテイソン
最初の笑いまで時間がかかるタイプの漫才でした。度胸が凄いなと。そこから笑いが持続せずに話がコロコロ転がります。真ん中ぐらいの転がり方はまだ分かるんですが、後半は「なんの話をしてるんだろう?」という感じでした。ワンパターンになることを嫌ったり、後半盛り上げようみたいな意思は伝わりましたが、お客さんが付いて来なかった印象があります。難しかったですね。
お客さんは「なぞかけ」を観たい。でも、その一番強い笑いは最初の部分。だから、話を転がしていくんですが、そこは特に興味はない。そんな感じでした。構造的な問題なのかもしれません。
3.ニューヨーク
「ラジオのフリートークにツッコミで茶々入れる」みたいなネタだなあと思いました。
一人がほとんど喋り、もう一人が適度にツッコむ。ただ、話がぶつ切りになるんですよね。興味のない話が続くのに話自体もぶつ切りになるのがしんどかったかなと。
ニューヨークさんは価値観で笑わせようとするタイプだと思っていて。だからこそ、そういう部分はキングオブコントの方が映えるし、コント漫才の方が良いと思っていたので、そういう意味では良い感じに裏切られた部分でもあります。
「時効なんで、時効なんで」とらしくフッておいて、「ウンチ食べたことあるんです」はバカバカしくて好きでした。
4.見取り図
大御所芸人になってマネージャーが付いたら、というネタ。スッとコントに入って、あとはボケに振り回されるという流れ。
ここまでの4組を観ていて、「掛け合わないなあ」と思いました。しゃべくり的な漫才が占めるのに、お互いがお互いのことを向いて喋らない。見取り図さんもボケが変なことしてツッコミが引っ張られてるだけ。
二人が会話をして、その中にボケ(変なこと)があるから漫才になるのに、一人が変なことをしてそれに意見してるだけ。反省(というフリ)もない、どんどんテンポで誤魔化して続けていく。こういう形のネタが多くないか? そう思いました。
5.おいでやすこが
「これもか」と思いました。また一方がボケ続けるだけか、と。
このネタは特にそういった部分が強く、まあそこを強みにしてるので、仕方ないとは思いますが、(年末のネタ番組にありそうな)ユニットコンビみたいなネタだなと思いました。実際そうなんですが。
おいでやす小田さんのテクニックでどうにかなってるなあと。
6.マヂカルラブリー
高給フレンチのマナーが心配というネタ。心配な人に色々と教えて、じゃあシミュレーションしてみよっかなという流れからドアをぶち壊してきた時は「最高!」と思いました。
フリも長いくらいには長い。だけどボケは一発目で爆笑を決める。すごいな、と。
ようやく漫才らしい漫才を観たなと思いました。ちゃんと掛け合いをしてるなと。
7.オズワルド
名前を変えたいというネタの導入から「興味ないなあ」という感じ。そしてボケは(話の流れとか関係なく)個性的。本筋とは関係ないところでテクニカルに笑いを取っていく。ずっと変な話をしていて、ただその変な話に現実味を持たせる作りでもない。笑いは起きるんですが、本筋の話がきちんと進まないのでネタ自体への興味も薄れていく。乗れませんでしたね。
ただ、テンションをヒートアップさせる感じは去年からの変化なのかなと。
8.アキナ
和牛さんみたいな丁寧なネタだなと思いました。二段構えで、必ず笑いを起こせるポイントも設計してある。ただ、お客さんが付いて行かなかった感じがありますね。
なんでなんでしょうか? 個人的には「実感が持てなかったんじゃないか」と。中年とも言い切れない落ち着きのある二人が、好きな女子に対してあれこれ言い合うというネタそのものが。「好きなん?」の後になにを言ってるかも聞きづらかったです。「絶対ない」って言ってたんですね。
9.錦鯉
うーん、またか……。みたいな。なんでこんな「スッと始まる」「一方的にボケ続ける」そういうネタが多いんだろう? と。
トータルテンボスさんの「忍びねえな」「かまわんよ」ってすごい発明だったんじゃないのかと思い始めました。あそこで二人の関係性がちらりと見えるわけです。そこら辺の関係性が見えずに始まるからややこしく見えるのかなあと。「コンビだから関係性あるでしょ」っていう話ではないと思うんです。そこはネタの中で見せるべきだと思うわけです。
自分たちの世界だけで楽しくやってるねって感じです。このネタだけの話ではないですが。
10.ウエストランド
なにか爆発が起きる気がしました。今までのネタの形とか、掛け合いで笑いを起こす感じを期待してて。なので、今までと同じ形なのにはビックリしました。そこを変えていたから決勝まで進出したのかと思っていたので。ちょっと難しそうでした。
そもそも「価値観」や「思想」で人を笑わせるのって難しいと思うんですよね。ニューヨークさんの話じゃないですが、そういったことをコントの物語として暗に伝えるならまだしも、しゃべくり漫才だと余計に難しくなります。
だって、「俺は違うと思うな」とか「この人、変な人」って思われたら終わりなわけですから。
でも、そういうのも全て出してやるんだという気概とか、滾っている井口さんをM-1で見せつけたのは良かったんじゃないかと思います。
最終決戦1.見取り図
なんか変なネタでした。「ここで笑いを取りたい」から、「こういう話の展開にしてる」みたいな作為的に見えるネタで、急に動きに対して例えツッコミが入ったり、なんか散漫なんですよね。ボケの組み立ても一つひとつがバラバラで纏まってない。別に纏まらなくても良いんですが、いろんな場所で笑いを取ると、「笑いを取りたいがための会話の流れ」にしか見えなくなってしまう。なにに集中して観たらいいのか分からない。だから大喜利大会みたいなのが始まる。
見取り図さんは往々にして(M-1では)そういうネタの傾向にありますが、作家さんとか入ってるのかなと。ボケ一つひとつはおもしろいけどバラバラで纏まっていないので、もっと一枚絵として呑み込みやすいネタの方が良いと思うんですが。
最終決戦2.マヂカルラブリー
フリも少なめにすぐ本ネタに入っていく感じは、ファーストラウンドを踏襲したおかげだったんでしょうか。とても見やすかったです。野田さんの演技もバカバカしさも必死さも凄かったです。優勝だなと思いました。
放送後に「あれが漫才なのか」みたいなことを言ってる人がいてビックリしましたが。
村上さんが心配して叫んでるのに、野田さんが心配以上の動きを繰り返すなんて、どう考えても漫才です。
お互いの熱量がぶつかるから、一人では生まれない、ありえない笑いのエネルギーが生まれるわけです。お互いの熱量をぶつけることなく一方的に熱量をぶつけるネタのなんと多いことか。それらのネタの方がよほど漫才からかけ離れた自己完結のピンネタだと思いますが。
最終決戦3.おいでやすこが
ユニットコンビの限界というか。もうこれ以上はこのフォーマットにはないな、という感じでした。頭のおかしい人、でも一応は自覚的だよという構成は取っていますが、そこから人間味が出るというわけでもなく、ただ頭のおかしい人への疑問を潰してるだけ。だから結局は頭のおかしい人のままで終わっていくという。ここら辺が(この形では)限界かなと思いました。
ネタやコンビについてあれこれ言いましたが、おそらく準決勝を審査してる審査員に問題があるのかなと。おそらく、大衆性のあるコンビは切って、オリジナリティ、個性の強いコンビを選んでいった結果、「漫才できてる?」みたいなネタが決勝に集合したのかなと思います。
まあ、別にそれでも良いわけですが、普段ネタ番組を観ない視聴者はどう思ったのかはちょっと気になりました。(裏番組関係なく)視聴率大丈夫? みたいな。
漫才は自由で、それはそれで正しいかと思いますが、あまりにも観客の方向を向かずに作られてるネタは、お笑いファンやコアが理解できる作家には受け入れやすいでしょうが、一般の視聴者は離れるだけだと思います。大衆的にコアな漫才を作るから難しいわけで。そういう意味では、ちょっとコアな向きが多かったかなと。入口が狭いネタが多い印象を受けました。
(一方的にボケて一方的にツッコむ形は)霜降りさんの影響なんでしょうか? でも、あそこまで潔いならともかくとして、中途半端に会話したり中途半端にずっと喋ってるなら、どちらかに寄せて分かりやすく作るべきなんじゃないのかなと。
「導入は導入として作るけど、あとは自分たちが面白いと思うボケだけで作るぜ」みたいな本筋から関係ないところでやたらとボケたがる傾向も多かったような。
ブラマヨさんだって、吉田さんの話自体は興味のない話かもしれませんが、それに小杉さんが真剣に熱量を持って聞くから、見ている人間も(二人の話への興味が)引っ張られるわけで。そういう掛け合い、関わり合いが薄いネタが多かったような気がします。
(ストーリーのあるコント漫才ならともかく)しゃべくり漫才なんだから、もうちょっとお互いのことを向いて喋ろうぜ。そして、ツッコまれたら、それは無視するんじゃなくて、ちゃんとフリにしようぜってことを言いたいだけなのかもしれません。
だって二人が喋っているから興味を持って観ているわけで。「おもしろければいい」と言われたらそうなのかもしれませんが、そこは自由に作る前の土壌の部分なんだからきちんとすべきだし、方向性を決めるならその方向性に則って作るべきだと思います。
(もしかしたらブラマヨさん的なしゃべくり漫才のイデオロギーと霜降りさん的な大喜利漫才のイデオロギーがごちゃまぜになっていたコンビが多かったのかもしれません)。
ジャルジャルさんだって、「漫才なのか?」みたいなことは言われてましたが、あれだって関係性があった上でのきちんとした「(ジャルジャルさん流の)漫才」ということは分かるはずです。それはやっぱり一方通行でなく、お互いがお互いに向いてるからおもしろいのであって、一方通行のような漫才が溢れていたのは、やっぱりちょっと見づらかったです(しつこいですが)。
まあ、でも、それは自分だけなのかもしれないという可能性は残しつつ……。
いつもふざけてる野田さんが涙をこらえてる姿にはグッときました。なにはともあれおつかれさまでした。