ROCK or LIVE - ロックお笑い部 - vol.3 【Base Ball Bear×ダウ90000】レポ

楽しいライブだったので、ちょっとレポでも。

 

 


最初はダウ90000のコントから「不思議な夜」。おお~、という感じ。
Base Ball Bear待ってましたという気持ちもあるので、ダウ90000の登場に少し肩透かしな感じも、そういうのが観たかった感じがあったので歓迎でした。
中島さんのマイクがハウリング気味でドキドキしました。
ライブハウスなので声張ってやるのかもと思いましたが、マイク使ってたんで、その影響かもしれません。
ネタ自体は8人がシチュエーションに絡んでくる構成で、ベタな笑いもありつつ、多人数が活かされている仕組み、サブカルネタなどを散りばめていて、かなり新鮮に観られました。
サブカルも狙った感じではなく、ネタのテーマの1つ、普段使いの会話のように入れられていたので変に考え込まずにリラックスできました。
ネタの終わりで、Base Ball Bearが登場。なるほどと思いつつ、なんの曲からだ? と。
頭の中では「そんなに好きじゃなかった」をリクエストしました。
かかった曲は「不思議な夜」。
そりゃそっちだよなと。解釈そっちが正しいよなと思っていたら、「short hair」を挟んで「そんなに好きじゃなかった」へ。
おお~と思いました。
そこからは漫才へ。
ここら辺、余韻を急にお笑いシフトに変更しなくちゃいけなくてちょいと大変でした。
さっきまで鳴り響いていたバンドの音で耳も遠くなっていたので。
ただ、ネタ自体も本ネタとアドリブが半々くらいの前説みたいなネタで、(知らない人に対して)やさし~ってなりましたね。
それと同時に達者な人達なんだな~とも。
ここで盛り上がったのは、園田さんの失恋の話。
これは直近のYouTubeラジオで知っていたので結構楽しめました。
どこかのタイミングで開場が盛り上がり、園田さんが「あんたら悪魔かよ」(人の子かよ、みたいなニュアンス)と声高にツッコんでいて笑いを取っていたのですが、その様に新鮮さがありました。
お客さんに対する「悪魔かよ」「人の子かよ」みたいな言葉遣いは特段珍しいものではないですが、それが失恋に使われているのが新しくて。「恋愛」や「失恋」を揶揄されることに心から叫ぶ真っ直ぐさというか、そういう言葉を使う生真面目さというか。意外にお笑い芸人ではそうはならないのでは、と思ったり。常識のある一般性みたいなものがダウ90000が支持されている点でもあるよなと。
妙に深く考えてしまいました。そこから再びBase Ball Bearパートなので、ここで「そんなに好きじゃなかった」を被せてくれ! と思いましたが、そんなことはなく(それでいい)。


夕日、刺さる部屋(新曲)→Endless Etude→THE CUTの流れも良かったですね。
ここら辺は流石に束で聴かせる上手さがありました。
Endless Etudeの照明も妖しさ満点。THE CUTはポケモンショックみたいな照明の使い方でちょっと笑ってしまいましたが。
ダウ90000のメンバーはどんな感じで聴いていたんでしょうか。忙しくて聴けなかったとは思いますが。

終わりで飯原さんことMC徳島のラップパートはこれまた盛り上がりました。
コント→歌→コント→歌も良いのですが、それの繰り返しで終わるのも寂しいのでトークありのコーナーがあって良かったです。
ここでは司会の小出祐介がラップパートを解説して湧かせたり、(歌い終わったばかりで司会をするのは大変そうでしたが)楽しいやり取りでした。
ここでも双方のメンバーが相性良さそうで微笑ましかったですね。
ラップを丁寧に褒めてあげる小出先生が優しかったです。

そこからコントパート。
このコントは人物描写も巧みでおもしろかったです。
男女が持っている価値観への見方というか、数ある男女の関係性への屈折したものの見方というか、そこの価値観と視点の切り方で鮮やかに笑わせる。その上、分かりやすくもあり、ベタのおもしろさ(じゃんけんのくだり・それでいて今っぽいあるあるでもある)があり、よくできてるな~、と。
捻くれた価値観と、恋愛ネタということで、Base Ball Bearにも通ずる部分があるなと思いました。
報われない男がいることもBase Ball Bearらしく、これは次どんな曲が来るのか? ネタのおもしろさも相まってワクワクしました。
個人的な瞬間の予想では「BOYS MAY CRY」でしたが、関根史織チャップマンスティックを携えての「kodoku no synthesizer」。
これには、おお、という驚きがありました。
そして、ある演出が加えられ、それはライブならではのものでした。
この流れなら「Tabibito In The Dark」が合うんじゃないかと思ったら、まさかの「Tabibito In The Dark」。
だとすると「yoakemae」? でも、そこまで『新呼吸』の曲が続くかな、と思っていると、次の曲は「changes」。
最近のBase Ball Bearのライブは曲の流れを予想するのが楽しいですが、この日は妙に解釈一致したりして、そこも面白かったです。DJ的な選曲をコントから予想するのが楽しかったんですね。
アンコールはダウ90000歌唱の「耳をかして」。
拙さはあるものの、その拙さがパッションを感じさせ、非常にエモーショナルな締めくくりとなりました。

~感想~

ダウ90000はネタもきちんとしていたし、以外に達者な感じもあって、その辺りは思ったよりもビックリみたいな感じでした。
でも、そこまで玄人かと呼ばれると、そうではなく。
失恋でもの凄い落ち込んでいる人がいたりとか。アンコール間際で小出祐介のフリに園田さんと道上さんが話し始めるんですが、早口で捲し立てて話し始める(ファンの前でそのくだりが何度もあったんでしょうが、初見には捲し立てているようで聞き取りづらくもある)。でもその様が「そうなるよな~」というか、微笑ましく観られるというか。親しみやすさがあるんでしょうね。
もしかしたら同世代のファンも多いかもしれないけど、意外に(小出祐介含む)年上の人の方が応援しやすいのかもなあと思ったり。
「サークル感」と言われることも多いだろうけど、どちらかというと「スクール感」という言葉の方がしっくりきました。
決して自分たちのノリだけでやっていないというか。あくまで誰しもが楽しめるくらいのポピュラリティーはあるような気がしました。
例えば同級生コンビなども、そういった「スクール感」があったりもしますが、ダウ90000が「サークル感」と読み違えられるのは出自と人数の関係なのかなと。
あとは男女でいるかどうか、とか。
そう考えていくと、ダウ90000を観ていて昔のBase Ball Bearを思い出したりもしました。
SCHOOL OF LOCKに出ていた頃。特にベボベLOCKSとかやっていた頃です。
男女でワイワイやっていて、笑い合う中に放課後の残り香がする。みたいな。
Base Ball Bearの場合は、年齢を重ねていく過程で、歌う歌詞や奏でる音が変わっていき、そして「スクール感」も減っていきました。
湯浅将平もいなくなってしまいましたしね。
(ただメンバーは、元々仲良かったから組んだバンドではない、ということも言っています)
じゃあ、スクール感がゼロになったかと言われれば、そうではなくて。いつでも滲み出ていて、そこが良いんですよね。だから今でもスクール感を感じる瞬間はありますし。
ダウ90000とBase Ball Bearの共通点はそういうところにも表れているなあということを感じていました。
想像以上に親和性があり、そして、良いライブでした。
またやってほしいですね。