Base Ball Bear 『光源』を聴いて。そして色々な方のレビューを読んでいて思ったこと。

Base Ball Bearの7th Full Album『光源』聴いてます。
今作を例えて「二週目の“青春”」「強くてニューゲーム」とはよく言ったものだなと思いました。
少し振り返ってみると去年の2月にギターの湯浅さんが脱退しました。去年、2016年という年はバンドの結成15周年メジャーデビュー10周年の年でした。今でもあの時のことを思うと「あー」とか「うーん」とかやるせない気持ちにさせられます。それはBase Ball Bearというバンドが四人で作る音楽やリアリティを大切にしてきたからです。
ただその中で三人がBase Ball Bearとして続くことを決めたので自分は応援するだけでした。
そして4月12日、バンドにとってメジャーデビュー11周年の日にニューアルバム『光源』が発売されました。事前にPVが配信された「すべては君のせいで」、そして前情報から今回のアルバムにはシンセ等の同期ものが導入されていることが分かっていました。
そんな去年あった脱退劇、そしてそれを踏まえた二つのライブツアー、さらに今回バンドの決まり事を解いたアルバムである。いろいろな期待と不安がありました。しかし、不安はそこまで大きなものではありませんでした。それは、三人となっても歩みを止めないBase Ball Bearを観てきたからです。そして『光源』はとても素晴らしいアルバムでした。
ここからがアルバムの感想です。(序文が長いですね笑)

アルバムを通して聴いてまず思ったのは「今までと違ったフレッシュさ」、「しかしBase Ball Bearである」という背反した感覚でした。
本来なら違和感を覚えるところだと思うんですが、それをなにも感じさせないのが今のBase Ball Bearの地力なんですよね。それが凄いです。ライティングをする小出祐介の卓越さもあるんでしょうが、ベースの関根さんやドラムの堀之内の成長はもちろんあるのだと思いました。『C2』でも感じたことなんですが、スリーピースという形になって演奏の部分の成長がより分かりやすく聴けたと思います。
フレッシュさ、というのは小出祐介本人が目指したところではあったそうですが、見事に達成してると思います。そして、そう思ったリスナーは自分だけではないはずです。シンセやブラスだけではない曲単位のメロディーラインにも新鮮さを感じました。
自分としては『光源』からはコンセプトアルバムとしての旨味は前三作に比べるとあまり感じません(もちろんあるにはありますが)。ただそれは『二十九歳』『C2』がBase Ball Bearというバンドをある種メタ化した上で、自分たちの伝えたいことが作られているのに比べると、薄いと感じたからです。ですがそういったメタ化していったのも(もちろんロックバンドだからというのはありますが)Base Ball Bearというバンドが学生生活から四人であることを大切にしてきたバンドだからという理由のほうが強いと思います。そういったことを踏まえても湯浅さんが脱退して音楽的にもアルバムのコンセプト的にもフレッシュになったことは必然だと思いました。
そういった新鮮さが溢れる中で、この7枚目のアルバムはどういった立ち位置になるのだろうかと、ふと思います。『光源』を「最高傑作」と言う人はいます。だけど、単に「最高傑作」と言うのもそれは違うと思います。これは「新しく“三人になった”Base Ball Bear」としての一枚目のアルバムだと思うのです。だから「今までの“四人だった”Base Ball Bear」とは分けて考えることも必要だと感じるんです。ずっとBase Ball Bearの音楽を聴いてきたリスナーにはわかります、『光源』が今までと地続きであるということが。だからこそ、この『光源』を「最高傑作」という説得力のある四文字だけで片付けてほしくないんです。
三人になったBase Ball Bearはこれからも作品を作り続けると思います。そして変化し続けていくでしょう。そしてその度に最高傑作を更新していきます。自分もずっと好きでいると思います。だからこそ、四人で作った音楽や歴史を無下にしてほしくないし、簡単な言葉で片付けてほしくないんです。