久しぶりに大ハマりした漫画です。
最初、今流行りの人間関係にメインスポットを当てた作品かと思いました。そういった部分もあることにはありますが、この作品の魅力はそこだけではないですね。
主人公の湯神くんが周りの登場人物を巻き込んでいくのが良いですし、唯我独尊で突き進んでいくのが面白いです。
大枠は青春コメディーなんですよね。ただそこに湯神くんを含む癖のあるキャラクター、そして端正な絵が非常にバランスよく纏まった作品だと思います。
まず、丁寧さが目を見張ります。作劇も一人一人のキャラクターも、絵やコマ割も全てが丁寧な仕事で恐れ入ります。
雑誌単位で語るのは本意ではないんですが、サンデーらしい作品だと思います。巻を読み進んでいくごとにどんどん好きなキャラクターが増えていく。物語の筋もゆるやかに起伏がある。そんなとこが好きなんです。
少年サンデーの看板作家さんから色々な影響を受けているのかな、と思ったりもします。具体的には、綿貫さんが門田くんと創作落語の話をしながら「門田くん、ゆとりはどうしたの…」の場面なんかは西森博之先生みたいだなと思いました。まあ、そこだけなんですが(笑)。
あとは湯神くんのキャラクター性が素晴らしいです。堅物な性格ですけど、かといって高校生という設定を外れることはなく、喋り方も変に独特なものにしておらず、高校生男子にいそうなリアリティレベルで作られているところに好感が持てます。変に漫画漫画してないところに丁寧さを感じるんです。
1巻から7巻まで読んでいて、一番のお気に入り話数は4巻に収録されている20話「湯神くんVS綿貫さん」です。コマ割や構成に唸りました。また、18話の「湯神くんならこう言うね」のような短篇も描ける佐倉準先生にはかなりの期待をしてしまうんですが、過度に期待をせずに、湯神くんのようにマイペースに続巻を待とうかと思います。
湯神くんには友達がいない (1) (少年サンデーコミックス)
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