乃木坂46 19枚目シングルから思うこと。

最近、テレビの影響力が落ちている。テレビが力を失なっている。という話はよく聞きますが、やはり紅白歌合戦の影響力とはまだまだ大きいなんだなというのを最近の乃木坂を見ていると感じます。
というのも、19枚目シングルに並々ならぬ力を注いでいるように見受けられるからです。前作、センターだった3期生は何事もなかったかのように選抜からいなくなり、いつも以上に手堅いメンバーが揃えられています。そして、乃木坂メンバーが出演する映画作品の主題歌であると。
映画の主題歌、そして人気メンバーにおける歌唱。こういった力の入れようを見ていると、その眼先には紅白歌合戦があるのではと勘繰るのも当然かと思います。
あさひなぐプロジェクト」と銘打つほど、このプロジェクトに力を入れていることが分かりますし、映画というのは文化的にも高い位置にあるものでしょうし、ここで乃木坂46というグループがもう一つ大きくなったことを世間にも認知させたかったのかなと思います。
紅白というのは簡単に出演できる番組ではなく、なにかしらその年でヒットした曲や話題になったアーティストが出ると思うんですが、今年の乃木坂はなにが話題になったんでしょうか。すぐに挙がるのは白石の写真集です。ただ、グループに目線を向けると東京ドーム公演が決定したことと写真集売り上げの上位独占があるとは思うんですが、全体としては小さい話題性だと思うんです。じゃあ去年はどうなんだと言われれば橋本の卒業と答えるしかないんですが。
グループとして大きくなっているのは間違いないんですよ。ただやっぱり大きなブレイクポイントはなく、東京ドームに出れることも決定的な理由はなくて松村がインタビューで言っていたことが一番しっくりくる回答なんですよね。グループとしてはそれで良いんですが、紅白に出るためにはそれではマズいだろうと。そういったなかでの「あさひなぐプロジェクト」だったのかなと。
ここまで妄想しました。
前作シングルの『逃げ水』がMV含めて変化球ぎみのギミック満載だったことに比べると、19枚目シングルの『いつかできるから今日できる』は王道の乃木坂楽曲であり、紅白出場が叶った場合にはこの曲が歌われるのかなーと思ってるんですが。
『いつかできるから今日できる』はMVもド王道という感じで。『あさひなぐ』の映画を踏襲した映像も流れますが、選抜メンバーのビジュアルをこれでもかとバストアップで見せる美人のカタログみたいな作りには手堅いなーと感じざるを得ません。

初期の乃木坂ってもう少しコンセプチュアルに溢れていたと思うんです。当時を知るわけではありませんが。
制服のマネキン』が今の欅坂に引き継がれている部分があるのも、楽曲MV含めたコンセプトに惹きつける何かがあったからだと思うんです。
ですが、今回のシングルを含めて今の乃木坂はそういうコンセプトが薄れてきている印象があります。多分、これはアイドルに限ったことではないんでしょうが、最初はコンセプトを全面に打ち出すも人気が出てきたら人気ある方へ傾いていくという。
そもそもなにもない真っ白な状態だからこそ、コンセプトを打ち出さなければ誰も見向きもしないという見方はあるんですが、それにしても今は薄味だなと。
個人的にはいつまでダブルセンターやってんだ、って話です。10枚目くらいまではそういうのを少なからず感じたんですが、最近はそういうものを感じないですね。西野がダブルセンターを何回も務めていて、ファンの人はどう思うんだろうと考えると怖いです(笑)。西野が初センターの『気付いたら片思い』は男女関わらず守ってあげたいと言われる西野を一番前に据えて乃木坂にしては珍しい女性目線の楽曲を表現するという、西野にしかできないものだったと思います。でも以降の作品にはそういうものはあまり感じないんですよね。批判しているというわけではなくて、なにかもったいなんですよね。
このシングルは選抜の固定化という見方がありありと見えるシングルであり、もう選抜発表の緊張感もなくなってくる気がします。(だからこそダイジェストで発表した選択は正しかったように思いますが)来年には20枚目のシングルが出ることは確定でしょうし、どうなるんでしょうか。2月22日に近い日付で発売が決まれば自ずと選抜発表の緊張感は高まりそうなんですが……。

永島が卒業を発表したアンダーライブ武道館がアンダーライブ第一章の終わりだったというコメントを見て、アンダーライブにもそういう見方があるのかと思いました。なにせ観ていないので。ただ、そういう見方をしていくと乃木坂全体の第一章の終わりは永島から深川、そして橋本の卒業の一連なのかなと。生駒が『インフルエンサー』から乃木坂の第二章が始まるかもしれないと雑誌か何かで答えていましたが、あまりそういった印象は受けません。というより、今年乃木坂がまた新たなファンを獲得して盛り上がりを見せていますが、グループの内側に目線を向けると意外に停滞してる雰囲気するあるように感じます。それは『逃げ水』で次世代の乃木坂を作っていくのかと思わせて『いつかできるから今日できる』では二人とも外されアンダーにすら行かないで再び三期生として別行動です。三期生が単独で舞台を作っていることは素晴らしいことなんですが、裏を返すと、結局のところ三期生をどう一期生二期生の中に組み込むか決め切れていない判断の弱さが目に付くんです。乃木坂46、46人をどうグループとして育てて発信していくかが見えません。
アンダーに三期生が入れば新しい乃木坂みたいなものが少しでも垣間見れるんですが、それはしません。そうなると選抜の固定化は止まらないし、三期生も単独行動することになるし、この2017年は盛り上がっているようで停滞しているのが実情じゃないのかと思っちゃうんですよね。そして、それが19枚目シングルのプロモーションの手堅さにも直結しているように思えます。もっと意欲的で挑戦的でも良いんとは思うんですが、グループが大きくなっている手前、外れたときが怖いんでしょうか。それとも紅白出場だけを考えた手堅いプロモーションなんでしょうか。まあ、妄想をいくら広げたところで仕方ないのでそろそろ終わりたいと思いますが、来年の20枚目シングルから乃木坂の第二章が始まるような期待が自分にはあります。今年はそのための幕間、Interludeだったんじゃないかと結論づけてます。
20枚目シングルの選抜やアンダーがどうなるのか分かりません。その構図を続けていくのかも分かりません。ただ個人的には生生星をもう一回見たくて、そのチャンスは20枚目というアニバーサリー溢れるタイミングじゃないと無理だと思ってるんですが、どうでしょう。
コンセプチュアルにやれとは言いませんが、ぜひ挑戦的な戦略の下で活気溢れるメンバー全員での乃木坂46を見たいなと19枚目シングル発表から色々と夢想してみました。