2018年の乃木坂工事中を振り返ろう

2018年も終わりに差し掛かってくる頃合いですね。今年はグループ全体として色々なことがありました。それを一つずつ振り返っていくのも良いんですが、「アイドルのおもしろさ」をきっかけにグループを追いかけ始めたので、2018年の『乃木坂工事中』に焦点を絞って一年通して振り返っていければ良いなと思います。

 

今年の『乃木坂工事中』を振り返るとき、なにから振り返っていけばいいのか難しいところなんですが、今年の『乃木中』は2017年の年末から続いていた「3期生をどう組み込むか問題」に対して、どう解決していくかに挑戦した一年だったのかなと思います。

結構大きなポイントとしてそれがあるんじゃないかと。

 

「逃げ水」が発売されたくらいからだったと思いますが、「3期生+選抜」と「1期生+2期生」に分かれて収録が行われることが多くなりました。

基本的にはかわいい企画や三期生をフューチャーする企画を「3期生+選抜」。そうでない企画を「1期生+2期生」。そういった方針だったと思いますが、まあこれは番組だけでなくどこでも共通していたものだったような気がします。

顕著だったのが年末に放送された『妄想恋愛アワード2017』が「3期生+選抜」、年始に放送された『軍団全面対抗バトル』が「1期生+2期生」という括り。

そういった風にグループを分けて番組を作ることもありでしょうが、ただこれでは永遠に三期生が浮いた存在になってしまいます。そこで『乃木坂工事中』が考えたのが過去の名作企画のリバイバルだったように思います。(『妄想恋愛アワード』もそうですが、おもしろ成分低めなので)

リバイバル企画第一弾となるのが、1月21日放送『乃木坂 頭NO王決定戦2018』です。これは2014年に放送された『乃木どこ』時代の『頭NO王決定戦』で頭NO王となったまあやに2期生と3期生が挑むという企画でした。

一期生こそ、まあや以外の出番はありませんが(前半はまだある)、2期生と3期生が番組を通して画面に映るということは『乃木中』においては珍しいことだったように思います。

この後のリバイバル企画を纏めますと、「3期生+選抜」を中心とした『乃木坂バレンタイン2018』、『 ウチの子いいでしょGP 3期生編』が放送されました。

そして、それと同時に期別関係なく盛り上がれる企画を探していきます。『エイプリルフールバトル』、『買っちゃえ!スタジオ即売会』等がありましたが、特定のメンバーだけが目立ったり、企画性だけが盛り上がってあまりバラエティーな部分に繋がっていないように見えました。

そういった試行錯誤をしていく中で突如として『乃木坂工事中』にターニングポイントが表れます。それが6月10日放送『乃木坂駆け引き女王バトル 前半戦』です。

この企画の肝は、「大人気アイドルグループと呼ばれようが、駆け引きに敗れれば容赦なく罰ゲームを喰らう」ことにありました。

『乃木坂工事中』がある時期からアンケート主義的になってきて、それに伴いトークの上手さや、立ち回りの妙がピックアップされることが多くなりました。ただ、この回を観た人ならば分かると思いますが、それぞれのメンバーの個性やキャラクターを楽しむのがアイドルバラエティーのおもしろさだと思うんです。そして、それは他のバラエティーにおいても同じですよね。

『乃木坂駆け引き女王バトル 前半戦』はそんなことを思い出させてくれるような企画でした。的確にサソリの気持ち悪さを例えた川後陽菜。どんなに写真集が売れようともリアクションがおもしろくなってしまう白石麻衣。設楽さんを上手く使い罰ゲームを受ける松村沙友里。罰ゲームを受けた後に文句が多くなっちゃう桜井玲香。潔く罰ゲームを受け止める井上小百合。そして、全員が多数派になるよう誘導させた賢さを見せる中田花奈。そこに至るまで場を乱すに乱した和田まあや

この企画は一回戦二回線を2つに分けて、勝ったメンバーが決勝戦を行うということでしたが、一回戦だけで放送一週分すべて使うのは、あまりにも撮れ高があったからなのかと想像するほどでしたし、それだけ傑作回でもありました。

初期の『乃木どこ』時代にこういった体を張る企画は多かったように思います。ただ、年を重ねて、アイドルとしての立ち位置を作り上げていく過程でトーク中心やアンケート中心の企画が多くなっていました。体を使うにしても、ほどほどに。みたいな。

ただ、この回で分かったのは一周まわったおもしろさだと思います。「なりふり構わず必死だった頃を経て、落ち着いて大人になったメンバーが、また改めて企画に対して必死になる」。そういうおもしろさがあったんだと思います。汗をかかなきゃ面白いものはできない、そう言っていたアイドルの存在を思い出しました。

 ここからの『乃木坂工事中』はこの回を一つの理想として、企画を考え番組作りをしていたように感じます。『乃木坂グルメ食イーン決定戦』、『第1回 乃木坂46クイズ選手権』、『秋の芸術ゲーム大会 後半戦』。 兎にも角にも全身で番組を作ることを心掛け、それが直接のおもしろさに繋がっていたように思いました。

1期生だろうと2期生だろうと3期生だろうと関係ない。とにかく乃木坂46のメンバーが全身で全力で番組に取り組む。そうすることによって全メンバーが先輩後輩関係なく、フラットな立場に戻れることができました。そして、そういった「見やすさ」が2018年下半期の『乃木坂工事中』を覆い、個人的には楽しめた要因になっています。

『3期生代理戦争バトル』こそ謎の企画で少しの批判(ここまで来てまた三期生!?)はありましたが、それもこれも選抜メンバーを中心に「全身で番組を作ること」が主目的であって、3期生は後付けみたいな印象があったので特になんとも思わなかったです。むしろ合同卒業回へ向けての埋め合わせ感が。

 

2018年一発目の放送で設楽さんが過去の『乃木中』を振り返りながら「去年は何もやってないじゃん」と言ったのが印象的で。2017年はヒム子云々はありましたが通常のバラエティー回ではやっぱり印象が薄いんです。それだけ、3期生をどう番組に組み込んでいくのかに苦慮した一年だったのかなと。ただ、その甲斐もあって2018年は光明が見えてきたような気がします。

 

乃木坂の面々がゴールデン帯のバラエティーに出ることが多くなりました。でも、本当に各々の個性が出ているのか、疑問になることは多いです。結局はいつもの「落ち着きのある麗しのアイドルグループ」というイメージを崩せていません。ファンとしては、それで良いのかもしれませんが、個人的にはそれに未来があるのかは複雑になります。

ゴールデンの番組は沢山の枷の中で作られていて、そこで何かを出すことは難しいことなのかもしれません。ですが、川後が「乃木坂さん」発言の時、日村さんからアンダー良いねえ、と言われていたように、乃木坂良いねえ、とゴールデン番組で共演者の方から言われるのを見てみたいんです。でも、それも難しいんですかね……。

 

ひらがなけやきの番組が今年新しくできて、『乃木坂工事中』の後に二つの坂道シリーズの番組が続くことになります。色んな見方をされるでしょうが、『乃木坂B級ニュース大賞2018』で見せたような、今の乃木坂でしか見られない番組作りをしていってほしいですし、『乃木中』には王道の最先端を進み続けていってほしいなと思います。

2019年もメンバーとファンが笑い合えるような番組を週末に届けてほしいですね。