【トワノクオン】感想

先日、トワノクオンの最終章にあたる6章を観た。
トワノクオンとは飯田馬之介監督の遺作である。自分にとっては、ただのアニメ作品とは一線を画した想いで観ていた。
しかし6章を観るまでは少し退屈な作品だった。

トワノクオンは本格アクションアニメと銘打っていた。
そしてアクション監修に中村豊さんを付けたことにより、自分のハードルは上がってしまった。
毎回とは言えずとも観客の肩に力を入るようなアクションをストーリーに加えてくれるのでは、と思っていたのだ。
しかし、あの時のボンズのスケジュールは結構苦しかったんだと思う。
TVシリーズもやっていたし、UN−GOも終盤は総力戦だったと思う。
トワノクオンの6章も総力戦だと感じた。

6章は中村豊さん始めアクションアニメーターの方々がアクションを修正していた。その中でも藤井慎吾さんは基地の最初の爆発を担当していたと思う。あの爆発エフェクトはスタドラ16話でも観たことがあったし、カメラワークも素晴らしかった。

主人公であるクオンを演じる神谷さんの演技にも最初は慣れなかった。どこか違和感を感じていたのだ。自分が今まで観てきた神谷さんの演技にはないような悟った落ち着きがあったからかもしれない。しかし5章からクオンが自分の感情を激しく吐き出したところから、神谷さんの演技が自分の中で当てはまった。キャラクターの中にあった謎が解明されたからかもしれない。

1章は導入に関してはなかなか良かったと思う。
問題は2章からで、2章でやりたいことは自分にも分かるのだ。
主人公のクオンには救えないこともある。そしてキリの成長過程も描きつつ、クーストースがどんな仕事をしているのか観客に伝える。
しかし、そこか予定調和な感じがするのだ。
自分が思うにキリはいらずユーマ目線で物語を進めれば良かったのでは、と思う。

45分という時間の中でキャラを生かすというのは難しい。キャラが少なすぎても逆にダメなのだ。だからキャラクターの人数というのは難しと思う。

そして作画のレベルがOVAレベルではないのだ。トワノクオンは劇場作品ではない。これはアニメスタイル3号で川元さんが明言している。だから劇場レベルまで上げる必要はない。しかし、もう少しOVAのレベルまでは上げてほしかったと思う。6章に関しては劇場レベルだとは思うが。

しかし6章は違った。作画のレベル、ストーリーの加速、キャラクターの生きかた、音楽の盛り上げ、どれをとっても素晴らしかった。

6章まで観て馬之介さんのメッセージが伝わると思うのだ。瞬の最後の言葉がメッセージだと思う。瞬は自分の過ちに後悔したが、自分の最期をしっかりと決めた。そして、瞬の伝えた言葉を受け取った子供たちを見守るのがクオンのこれからの役目なのだ。しっかりした大人がいてこそ、子供たちは立派に成長する。主人公は子供たち。それが馬之介さんのメッセージだと自分は思う。

トワノクオンとはクオンによって助けられた人々の成長物語であり、その人々によって成長するクオンの物語なのだ。