『ちびまる子ちゃん』の魅力、『さくらももこ』の魅力

気付いたが、『ちびまる子ちゃん』のなかには話数ごとにたまに作者さくらももこのおまけページという名のエッセイが挿入されている。
これが思いのほか面白い。というか言葉の選び方がいい。
テレビアニメ化して離れたファンと新規のファンを、「捨てる神あれば拾う神あり」と例えるのはうまいなと。
7巻の巻中コラムで『もものかんづめ』を宣伝しているけど、それはそれで『ちびまる子』の歴史を感じる。

初期エッセイ集三部作『もものかんづめ』『さるのこしかけ』『たいのおかしら』はいずれもミリオンセラーを記録した。(Wiki

これは単純に凄い。三部作にしても全部がいくとは。

『ちびまる子』を読んでいて一番笑えるのは意外にもナレーションだったりする。
テレビ『ちびまる子ちゃん』のナレーションはキートン山田さんが担当していて存在感を出しているが、もちろん漫画でも存在感がある。

7巻に収録されている『まるちゃん熱帯魚を飼う』の巻でもその一端が見える。
グッピーが飼いたくてたまらないまる子がようやくグッピーが飼えることになった。その嬉しさをおじいちゃんである友蔵にその喜びを伝える場面。

嬉しくて歌っているまる子。
まる子「グッピーがやってきた〜 わたしのうちにやってきた〜 暑い国からやってきた〜♪」
友蔵「どこの国から?」
――――――次のコマ―――――――――
まる子「…暑い国」
友蔵「だからどこの国だね?」
ナレーション「こんなきびしいおじいちゃんはじめてである」

これが自分にはたまらなく面白い。
ナレーションというのはツッコミのように思われがちだけど、こうした場面を説明するだけでもナレーションの味は出る。
15巻になると、ナレーションが減って、作者がナレーションに頼らず登場人物たちだけで物語を面白くできるという自信が出てきたのかもしれない。
漫画におけるナレーションの発明などは知らないが、それをうまく活用してるのがさくらももこの魅力であり、『ちびまる子ちゃん』の魅力でもある。