『氷菓』と『〈古典部〉シリーズ』に感じた差異

米澤穂信さん原作の『氷菓』の映画化が進んでいるようです。記事でエキストラ募集をかけているということなので、もう決定と言ってもいいんでしょうね。
実写化決定と言うことで、今更アニメ版『氷菓』でも振り返って行こうかなと思います。

http://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0406/blnews_160406_0578428709.html

氷菓』がアニメ化する前から、『古典部シリーズ』は読んでいて個人的には思い入れの深い作品群の一つではあります。なので、アニメ化すると発表された時には結構驚きました。京都アニメーション制作と聞いて余計に。
まあ、京アニさんが作るのでそこまで原作に手が加えられることはないだろなという安心もあったので、放送が始まる時も肩ひじ張らずに観ることができました。

・原作が持つライトノベル
氷菓』の原作は誰もが知ってる通り小説です。ですが、厳密に言えば初出されたときはライトノベルのレーベルでした。自分は角川文庫版から入った人間ですが、『氷菓』を観ていると元々がライトノベルだったことを思い起こさせました。
千反田さんがほうたるに近づく「わたし、気になります」という例のアレですが、アニメで視覚的にされることでかなり画として違和感がありました(笑)。違和感と言うよりは「あ、こんな感じで近付いてるんだ」という驚きの方が大きかったです。普段そこまで頭の中でイメージして読書する方ではなかったので何度観ても観慣れませんでした。近過ぎだろ(笑)と思いますが原作でもそうだしなと一人で納得するしかなかったです。でも、そういったところを含めて原作が元々持っているライトノベル性なのかもしれないなと思いました。

・柔らかいキャラクター達
先述した通り自分は『古典部シリーズ』のライトノベル的な部分をアニメ化するにあたってビックリするわけなんですが、そういった部分を踏襲して『氷菓』のキャラクターはどのキャラクターも随分柔らかくなったと思います。
特に一番柔らかくなったのがほうたるですかね。一言で言うなら凄い童貞臭い(笑)。青臭くもありますよね。まあ原作のほうたるが高校一年生とは思えないくらい淡々とした人間なので、このくらい柔らかく青い性格で人間味を持っていた方が等身大と言えるのかなと思います。『愚者のエンドロール』でシャッターを叩いたりするところは驚きましたが(笑)。
ほうたるのキャラクターデザインは好きでした。あの屈折した性格が髪の毛に良く出てると思います。最初期の原作と比べればかなりイケメンになりましたがね(笑)。『氷菓』がアニメ化する以前から西屋太志さんにキャラクターデザインをしてもらかったと武本康弘監督がどこかの雑誌で言ってたのを読んだ覚えがありますが、それにしても素晴らしい采配と起用への応えだったと思います。*1
キャラクターについての話をもう一つ。千反田えるについてです。原作者の米澤穂信先生が千反田というある種現実離れしたキャラクターに佐藤聡美さんが声を当てたとき地に足付いたキャラクターになったとどこかで言っていた記憶あります。*2これには自分も同じ意見で千反田さんという存在は佐藤さんの演技が担っていた部分もかなりあるのではないかなと思います。

・そしてストーリーも
柔らかくなっていったキャラクターに付随してストーリーも柔らかくなったところもあります。柔らかくなったほうたると千反田さんの関係がラブコメっぽい空気が漂ってました。それが嫌だということではなく、やっぱりその空気に驚くんですね。嫌よりも驚きの方が上に来ました。久しぶりに原作厨と呼ばれる人の気持ちを感じました。
ただ、『正体見たり』の回は原作のままが好きですね。あのくらいのメンタルスプラッシャー具合が好きだったので。

・さいごに
氷菓』と『古典部シリーズ』は媒体が違うので受ける印象は違います。でも、『氷菓』は楽しい作品でした。違う部分も含めて。そういう意味では原作改変だ!と一々騒がない大人な視聴者になったのかなと思いますが、グチグチ言ってる部分はグチグチ言ってますしね(笑)。
原作とは違うラブコメ要素とかもありましたが、ああいう部分はアニメスタッフの遊び心なのかなと思いますし。特に『古典部シリーズ』なんていじらしい展開が続くわけですし。『二人の距離の概算』を読んだなら尚更(笑)。

アニメの『氷菓』に関して言いたい事は言えた気がします。あとは実写化がどういう作品になるか楽しみです。映画でやるとしたら『氷菓』の一冊だけの映画化なのか、とか。それではもったいないからドラマでやるのか、とか。ドラマで『クドリャフカの順番』以外をやって映画で『クドリャフカ』をやるのか、とか。妄想は膨らみます(笑)。
自分が一番楽しみなのはセーラー服のロングスカートを観れるかというところです。アニメでは作画の関係もあってミニスカートにしたかと思うのですが、やはりロングスカートを観たかったです(笑)。そういうところも気にしつつ大らかな気持ちで待っていたいと思います。原作小説含め。


P.S
『小市民シリーズ』の続きはいつ読めるの……。

*1:主要人物だけでなく女帝や陸山会長も好きでした

*2:もちろんソースはありません