『恋ノチカラ』と『ごめんね青春!』を観て。

恋ノチカラ』、『ごめんね青春!』。どちらも恋愛を一本の軸として描いた連続ドラマです。自分としてはラブコメだと思って観ていました。あながち、その観方は間違っていないと思います。
恋ノチカラ』はお仕事ドラマの要素もありつつメロドラマに近い方向性だったと思います。『ごめんね青春!』は青春ドラマでもあるので、自ずとコメディー部分がドラマに加わっていました。
恋ノチカラ』は10年以上前のドラマでしたが、今観ても遜色ない。もちろんリアリティとかは今観るとなかなか観づらい部分もあるけれど、作品のドラマ部分がしっかりとしているので今観ても充分視聴に耐えうる。こういう長く観続けられる作品を名作とか言うんでしょうね。
人間関係を描く物語の部分も、テーマが見ごたえあるものが多かったです。一話完結なんですが、その引きが見事で小田和正さんの「キラキラ」がかなりマッチしていました。古き良きラブコメでした。特に最終回のエピローグには、完全にやられました。
『ごめんね青春!』は去年の秋ドラマに入るのでしょうか。漫画的な舞台と登場人物が笑いでうまく絡み合っていくのが観ていて面白く感じました。また、コメディーとシリアスのバランスも丁度いい味を出していました。最終回が取っ散らかってしまったのが少し残念でしたが概ね満足できるものでした。

二作品共に言えるのは、久しぶりに楽しめたドラマで、やっぱりドラマも面白いなあと思わせてくれる作品でした。
この両作品で素晴らしかったのは、なにを言ってもキャストの表情だと思います。
単純に芝居が上手いということではないと思うし、芝居の上手い下手も分からないんですが、この二作品にはグッとくる表情が多かったように感じました。それが作品の面白さに直結してると思うんですね。なぜなら、ラブコメだから。
恋愛模様のもどかしい気持ち、言いたいけど言えない詰まる言葉、そういったものがラブコメにおいては重要なんですね。
恋ノチカラ』では恋愛部分とそこから来る人間ドラマ、両方に深みを与えていました。全体的に演者の役者さんはそれぞれに素晴らしいんですが、特に深津絵里さんが素晴らしかった。
『ごめんね青春!』の方では、ラス前の話数の満島ひかりさんですね。すごいなー、と。表情芝居がたまらない。
アニメや漫画でもそういったもどかしい表情はあります。記号的な表情を捨て去った、生きた表情がうまれることもありますが、ことラブコメにおいては、やっぱり生の人間の芝居が生き生きとしているなあと思いました。そう思わせてくれたのがこの二作品でした。

一時間のドラマなので、毎回毎回お話の内容は変わりますが話の筋の流れ、作られたフォーマットのようなものは基本的には変わりません。
雑に言うと、トラブル→問題提起→ぶつける→解決、みたいな形です。しかし、そこで芝居をしているのは生きた人間ですから。その演者たちの表情や芝居の力だけでドラマはこうも底上げができるものなんだなと、新鮮な気持ちで観ることができました。
もちろんこの二作品はストーリーも面白いので、物語と役者の相互作用で面白いドラマに仕上がっているわけです。当たり前ですが。

また楽しくもドキドキするラブコメ作品の、ドラマ作品を観たくなるような『恋ノチカラ』と『ごめんね青春!』でした。