最近のバラエティーとニコニコ動画

時代の流れとしては信用せずに自分の論を進めるために歪曲して書く。ただし時代の流れは知りたいので、指摘や訂正を頂ければありがたく思います。

これは上岡龍太郎さんが紳助さんやさんまさんを例えるときによく使った言葉「さんまは素人的。紳助は玄人的」という言葉から来ているような気がする。この言葉は間違って認識されそうだけど、笑いのレベルの問題ではなく、二人の笑いが素人と玄人どちらの方にウケがいいかという話。

いつ頃からか、演者がマネージャーやテレビスタッフをイジることがテレビで見られるようになってきた。身内ネタということなんだろうけど、それは『ひょうきん族』のような演者が演者をイジるものではなく、玄人が素人をおもしろくする時代。
玄人が素人を面白くする時代だって、昔からあっただろうけどそれが狭い範囲で行われ出した。ダウンタウンさんやとんねるずさんがやり始めたのかどうかはよく知らない。ただ、玄人がいなければバラエティーというものは成り立たなかった。

ネットの誕生で素人が何でも作れ、何でも発信できる時代になった。今自分がこのブログで記事を書いてネットに上げることがまさにそうで、映像や文章、ジャンルは問わず何でも発信できる飽食の時代になった。
そして、「ニコニコ動画」が誕生する。この契機は興味深く、素人が素人をおもしろくさせることになった。コメントという道具を使って。つまり、つまらないものでもある程度おもしろいものになるし、元々おもしろいものは更に相乗効果のようにコメントという道具が輝く。
テレビではつまらないVTRや平凡な人をおもしろくさせた玄人が、インターネットには存在しない。あえて言い切るなら誰にでもバラエティーが作れるようになったのが「ニコニコ動画」意向だと思う。

最近のバラエティーでは変わり声のナレーションが笑いを取りに来ることが多くなった。また、「お願いランキング」ではキャラクターがVTRを紹介していてスタジオトークなるものは存在していない。こういったものを見聞きしていると、非常にニコニコ動画的だなと思ってしまう。
そうなっていくと、最後にはテレビのバラエティーから玄人という演者が消えてしまうのかと言われれば、そうはならないだろう。

  「司会もゲストも観てるだけ......」ロケ番組のスタジオパートって本当に必要なの?

いつかの記事にも書いたが、テレビは家族団欒のなかにあるもので、テレビが滅びるということは家族というコミュニティーが滅びることを表すだろうと思っている。上の記事にあるように、最近のバラエティーのスタジオとは、家族と言っても過言ではない。かなり極端な表現だが。もしかすると、核家族になり各人が一人でテレビを見ることが増えているのかもしれない。つまり、バラエティーというのは色々と変容しているが根っこの部分はみんなで囲む楽しさがある。
それはネットも同じである。家族団欒という形式は隠れ見える。ただ、やっぱりネットというのは特殊な環境であり、不特定多数が同じテーブルに座って何かを論じているという。インターネットは即時性が強みだとか言われることもあるけど、そこが一番なのかもしれないと。昔から唱えられたことを改めて強く思う。ネットは集団で群れてこそだと。それはニコニコ動画以前の2ちゃんねるから根幹に合ったものだと感じている。
テレビとネットは違うんだけど、その二つもどこか近くてどこか離れないものを持っているのだなと思った。

脱線しつつも論じてきた最近のバラエティーニコニコ動画だけど、それら二つをミックスアップしているのが「水曜日のダウンタウン」だと思っている。
ニコニコ動画的なものをテレビに輸入することで、テレビから玄人が消えつつある。それは不景気や演者の実力が落ちたこと、要因は決して一つではない。ただ、平凡なものをおもしろくさせる玄人が消えてしまっては、玄人的な見方をしている視聴者は満足しないだろう。そうなるとテレビのバラエティーが抽象的な意味でつまらないものになってしまいかねない。
水曜日のダウンタウン」はメインがVTRという、最近増えてきたバラエティーの形をとっている。しかし、その実メインの時間を占めるVTRは素人には作れないものだ。また、それをおもしろくさせるのも不特定の素人ではできないものだ。ダウンタウンさんに非常に合っている。それらは、素人には作れないバラエティーという魅力を放っている。VTRを仲間たちで囲んでいるのも、ニコニコ動画的含め今時なように見える。
「YOUは何しに日本へ」なども一見すればニコニコ動画にありそうに見えてしまうが、時間と労力がテレビでなければできないものだろう。

今はテレビとネットが意識し合っている過渡期で、その過渡期はずっと続いていくとは思いますが、ラジオを巻き込んだお互いがお互いを刺激し合って、このメディアにしか作れないんだという意欲的な番組を見たいですね。作られたものの可笑しみ、楽しみはそういったところにあると思うので。