アルコ&ピース考察

最近、自分の聞いているラジオ界隈でよく挙がる名前が、アルコ&ピースというコンビです。正確に言えば、「アルコ&ピース 平子」ですが、毎週必ずと言っていいほど聞きます。

その出所となるのが、『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』なんですが、そこで語られる内容が凄い面白いし興味深いんですよね。局のプロデューサーや人気の芸人から語られる平子さんの人物像を聞いていると、平子さん、引いてははアルコ&ピースというコンビがどう捉えられているのかを知ることなります。それを聞いていて、自分もちょっと語りたくなったので、ここに記しておこうと思います。

 

テレ朝の加地Pの次の週で、蒼井優と結婚した山里さんと比較して、平子さんは「プライドが高い」と言われていました。まあ、佐久間Pのネタトークの延長でもあったと思うんですが、「平子プライド高い」論調は、結構ネットでもよく言われる論調で。ただ、それはちょっと違うと思うんですよね。

平子さんが番組でボコボコに弄られておもしろいのは、あの大きな体とプライドが高そうな感じだから、おもしろさに繋がるわけで、ただプライドがない巨漢を弄ってもおもしろくはならないと思います。千鳥の大悟さんが言った「まず、デカいな」という言葉はかなり核心突いてる部分だと思います。


「変なセンス出してこようとする」という、もう一つよく言われる言説があります。

要は「平子る」と言われる部分で、ここが表裏一体なんですよね。「『平子る』はやめろ」とも言われますが、ここが平子さんの特性であって、あとはその「平子る」をどう調理するか次第だと思います。
そこで登場するのが酒井さんなんです。結局は平子さんは「アルコ&ピース 平子」であって、コンビにおいて平子さんを調理するのは酒井さんです。酒井さんの手に色々なものが掛かってると言っても過言ではないと思います。


アルコ&ピースというコンビの特性は色々なものがあると思います。個人的に思うのが、「ガチっぽい空間」を作り出せることです。これは、平子さんと酒井さんが同級生からコンビを結成してないことや、普段から特に仲が良いことを世間に見せないことなどから生み出されるものだと思います。
このガチっぽい空間が、「平子る」平子さんをボコボコにするリスナーのおもしろさや、平子さんにマウントを取る酒井さんのおもしろさ、引いてはアルコ&ピースのおもしろさにも繋がっていると思います。
平子さん自身は自分のことを「大ズラし」ではなく「小ズラし」の人間だと言うこともありましたが、そもそもそういう場所で闘っている人じゃないんですよね。アルコ&ピースというコンビの強みは「ガチっぽい空間」を作り出せることにあり、そしてそのガチっぽい空間における「状況のおもしろさ」だろうと。シチュエーションとも言えますが、『THE MANZAI 2012』の忍者になって巻物を取りに行くネタもそうですし、『ひろいき村』のドミノ企画もそうです。「ガチっぽい空間の状況のおもしろさ」が、どちらも上手く出ていたから印象に残ってるんだと思います。
アルコ&ピースというコンビの特性が最大限に発揮される媒体は、ラジオなんですよね。漫才でもコントでもテレビでもなく、ラジオなんだろうと。そう思うことは少なくないです。ラジオという密室空間は、情報が音しかありません。表情こそ見えないですが、そこにはガチでやり合っている様を想像できるおもしろさがあると思います。どんなふざけた企画でも聴覚媒体における情報の少なさと、2人の芝居の上手さやメール読みの上手さが、ラジオという媒体とコンビのおもしろさを最大限に活かしていると思います。多少褒め過ぎな感は否めませんが。
だからJUNKの枠に入れてあげてもいいのでは……、というところにも繋がります。(ANNも復調の兆しがある中でJUNKはどうなるんだろうという話はさておき)


こうやって書いてきて思うのは、やっぱり酒井さん次第でもあるのかなというところですね(笑)。酒井さんって、本音や本心が見えづらくて、攻撃されているときに本気で凹んでるのかネタで凹んでるのか分からないところがあったりします。平子さんほど弄られてるときの「叫び」がなくて、平子さんにずっとマウントを取られていると、やっぱり物足りなくなるところが出てきたりもします。
D.C.GARAGE』でもそういう状況に直面することがありますが、強く感じないのはスタッフワークの賜物だと思います。「平子さんが主婦から怒られた回」を例に出すと、マウントを取ろうとする平子さんをリスナーメールで庇う。平子さんが真相を離そうとするタイミングでCMに入ってしまう。『D.C.GARAGE』は、作家の福田さんやディレクターの石井さんの見事なスタッフワークが番組としての総合力の高さが生んでいるんですよね。
『ANN』から応援しているリスナーからすれば、収録放送の『D.C.GARAGE』は、ライブ感やリスナーメールのおもしろさが削られてると感じることもあるかもしれません。ただ、メールに頼らない2人だけの空間をどれだけおもしろい空間にするかという挑戦にも捉えられるので、個人的にはアリはアリだなと思ってます。(たまには特例でもいいから生放送をやってほしいですけどね)


アルコ&ピースさんの「ガチっぽい空間の状況のおもしろさ」が最大限に発揮されるのはラジオであり、生放送のラジオができる機会が増えればいいなあという結論は何週してるんだって話になりますね。ただ、佐久間Pや加地P、千鳥さんに言われるような部分を変える必要もないと思うんですよね。だって、そこは表裏一体、二律背反、どう転がるかだけなんです。ウケれば肯定されるし、スベれば否定される。ただ万能なプレイヤーではない以上、あとはどういう場所を与えるのか。そして酒井さんをどう活かすのか、そこだけだと思います。

今後、アルコ&ピースさんがどうなるかは分かりませんが、個人的には『チョコレートナナナナイト』がカギになってくるんじゃないと。ちょっと宣伝。

コンビのおもしろさがもっと知れ渡れば良いなあと思います。